親の介護世代で思うこと
近年では、「ピンピンころり」という言葉を使用することも少なくなったのでしょうか?介護・認知症を避けては通れない80代以降の親を持つ我々世代(50〜60代)は、人生100年時代の受け止め方を切実に感じ始めています。と言うのも親の介護が遅かれ早かれ始まり、自分の被介護の心配も現実を帯びてくる世代であるためです。
現在、個人的に感じている不安は3つあります。
①お金の不安 ②時間の不安 ③選択肢の不安です。
1つ目のお金の不安について。人生の三大支出のひとつでもある、リタイアメント後に必要なお金は、単に老後の生活費だけではありません。誰もが通る可能性のある介護・認知時に必要なお金を、今から自分で備えておかなければいけません。2つ目の時間の不安について。この先どれくらい介護状態が続くのかというような先の見えない時間帯に対しては、やはり不安を感じます。そして3つ目の選択肢の不安について。介護状態になった時に何処で誰とどうやって生きて行くのかということは予め決めづらいため、いざというときにどのように生きていくことになるのか不安を感じています。
これらの①〜③は微妙に重なり合いながら不安を増幅させるポイントでもあります。
しかし、あらかじめ準備や対策をしておくことで、これらに対する不安を軽減することが可能です。
まず①お金の不安に対する準備について。自分自身が施設介護になっても月々1人10万円〜15万円を支払うことが出来れば安心(年金受給予定額の確認と個人年金額や取り崩せる預貯金等)です。介護・認知症対策を年金だけで準備できない場合は、投信や民間の保険などで対応する選択肢なども検討しましょう。②時間の不安についての対策は、長い介護状態を避けるためにも、若い時から健康3原則(食事・睡眠・運動)を意識し、長寿を健康で豊かに過ごす準備をしておくことが必要です。最近は健康を意識したデジタルツールを活用して、日々の見える化を推進しているアプリもたくさんありますので、こういったものも積極的に利用しましょう。(DXに無縁そうな私も活用しています)③選択肢の不安についての対策としては、自分自身の意思表示だけでも家族にしておく事をお勧めします。遺言や家族信託とまでは言いませんが、子供側からすれば、お金や口を出さなくても親の意思は尊重したいものです。「私が介護状態になったら施設で静かに暮らしたい」「認知症になっても子供や孫たちと我が家で一緒がいい」など意思が分かれば、介護する側も終の住処が何処で誰と一緒がいいかは叶えてあげたいと思うのが人情ではないでしょうか。
人生が100年もあるのであればもっと計画的に準備をする必要があると思いませんか?自分自身の判断能力が弱くなる前に、老後(いやこの言葉は好きではない)の生き方をしっかり準備しておく事をお奨めします。お金・時間・選択肢の不安が払拭されれば、貴方の100年の人生が有終の美を飾ることとなるのではないでしょうか。
かく言う私の両親も、母(87歳)は現在認知症で特別養護老人ホームでお世話になり、父(89歳)は介護認定を受けて週3回の訪問介護(ヘルパーさん)のお世話になっています。母は意思表示のないまま認知症を患い施設へ、父は断固施設の入所を拒み現在に至っております。公務員だった父の年金で母の施設代を支払いお金の不安はありません。
資産管理・健康管理・意思の決定も計画的に且つ早めに対策する事が介護不安を和らげる近道かもしれませんね。
文責:外狩 達也