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がんとリスク ~家族は第2の患者

「家族は第2の患者」 がん罹患者の家族はこう呼ばれています。

がんにかかると本人に身体的、精神的、経済的な負担がかかるのは当然ですが、その家族にも多くの負担がかかります。

2人に1人が一生涯の間でがんに罹る時代です。一旦、がんに罹患すると、その発症した部位やがんの進行具合にもよりますが、入院・通院期間は長期にわたります。最近は入院での治療の割合は減ってはいますが、発症部位ごとの平均入院日数は、肺がんは、29.2日、胃がんは、24.2日、乳がんは15.1日です。最も長い悪性骨腫・肉腫では90.5日の入院日数がかかります。また、通院での治療では、平均で46.3日の日数がかかっています。さらにがんの治療や精密検査、治療後のフォローアップのための定期的な通院には平均で3~4年かかります。

 

がんの罹患率は、40代から徐々に増えはじめ、60代では10人に1人ががん罹患しています。その後も死亡のリスクが高まる年代である70代、80代と罹患する確率は増加していき、一生涯では2人に1人ががんに罹患する結果になっています。自分自身の人生において、がんになるリスクが高まるのは、40歳からと考える人も多いと思いますが、「家族ががんにかかる」というリスクは40歳未満でも十分考えられるのです。

がんは治療法も発達し、死に直結する病気ではなくなってきてはいますが、世論調査では依然として、「こわい病気である」と答える人が7割近くいます。「がんをこわい」と思う人の50%位は、こわいと思う理由を「がんの治療や療養には,家族や親しい友人などに負担をかける場合があるから」と答えています。このように、がん患者の多くが家族への負担を強いるものだと思っています。

 

ではその家族の負担を、少しでも軽減するにはどう対応すればよいのでしょうか。

国立研究開発法人国立がん研究センター発行の冊子「家族ががんになったとき」には、がんになった本人と家族を支えるヒントが3つ挙げられています。

ヒント1つ目は、 その時々で患者さん本人の気持ちや希望を理解するように努めるということです。たとえそれが上手くできなくても、家族がいてくれることそのものが、がん患者の支えになるのです。

ヒント2つ目は、情報とうまく付き合うということです。情報を集め、病状や今後の治療について理解を深めたり準備をすることで、家族も気持ちにゆとりをもって治療にのぞめます。家族自身が適切な情報を得て病気や治療の理解を深めることは、家族の不安を減らし、現実的な見通しを立てることに役立ちます。

ヒント3つ目は、家族自身も自分を大切にするということです。患者本人を支えるためにも、家族自身の心と体、生活を大切にすることです。家族は本人を支えつつ、その一方で、ご自分の日常生活も維持していく必要があります。その苦労からご家族は、「第二の患者」ともいわれています。患者本人をサポートするためにも、意識的に自分自身をいたわり、他に支援を求めるようにすることです。

全国の「がん診療連携拠点病院」や「小児がん拠点病院」「地域がん診療病院」には、がんに関する無料の相談の窓口である「がん相談支援センター」が設置されています。情報収集や困りごとの相談などで利用してみるのもよいと思います。

自分ががんになるリスクを考える事とともに家族ががんに罹ったときのことも一度考えておくことも必要なのではないでしょうか。

 

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