社内行事は“無形資産”を育てる ―チームワークとエンゲージメントを高める場づくりのススメ―
社員同士の関係性や職場の雰囲気が、仕事の成果に大きな影響を与えることは、あらためて言うまでもありません。近年では、健康経営やウェルビーイングの文脈の中で、従業員の“心理的なつながり”や“帰属意識”を高める施策の重要性が高まっており、その中で「社内行事」の価値が再注目されています。
特にマネーウェルネスを導入し、従業員の生活・経済的な安心までを視野に入れた経営を実践する企業にとっては、社内行事を通じたコミュニケーションの強化が、施策の効果をより高めるための重要な鍵となります。
本稿では、社内行事がもたらすチームワークとエンゲージメントへの効果、そしてその実践ポイントについてご紹介します。
【なぜいま、社内行事が必要とされるのか?】
コロナ禍を経て、テレワークやハイブリッド勤務が進んだことで、社内の「偶発的な会話」や「ちょっとした雑談」が激減しました。これは業務効率の向上と引き換えに、“人と人との関係の質”を損ないやすいリスクをもたらしました。
そこで、改めて“リアルな接点”を意識的に作る場として、社内行事の価値が見直されています。歓迎会や社員旅行といった定番に限らず、社内運動会、ボランティア活動、ランチミーティング、ワークショップ形式の交流会など、多様な形での社内行事が各地で復活しています。
【社内行事が生む3つの効果】
- チームワークの強化
日常の業務から少し離れた「フラットな関係性の場」での交流は、立場や部署を超えたつながりを生み出します。業務上では見えにくかった人柄や価値観を知ることで、相互理解が深まり、信頼関係が強化されます。
また、運動会やワークショップなどで「一緒にゴールを目指す経験」を共有することは、自然な一体感や助け合いの文化を醸成するきっかけになります。
- エンゲージメントの向上
社内行事は、単に“楽しさ”や“リフレッシュ”を提供するだけではありません。企業側が「社員の心の健康やチームのつながりを大切にしている」という姿勢を示すことにより、社員の帰属意識や貢献意欲が高まるのです。
特に、社員のアイデアや希望を反映して企画される行事は、「自分たちが組織の一員として尊重されている」と実感させる重要なきっかけとなります。
- マネーウェルネス施策の効果を“浸透”させる場にも
「マネーウェルネス」は経済的な安心と自己管理の促進を通じて、働く人の健やかな暮らしと仕事への集中を支援する仕組みですが、それを“会社が導入して終わり”では意味がありません。
制度やサービスの内容を社員に知ってもらい、自発的に使ってもらうには「人から人へ伝わる場」が必要です。社内行事のひとつとしてマネーセミナーを行ったり、参加型ワークショップの中に家計や金融に関するトピックを盛り込むことで、マネーウェルネスへの興味や理解が自然と高まります。
【社内行事を効果的にするポイント】
■ ターゲットに応じた企画設計
若手社員、子育て世代、ベテラン層など、それぞれが“求めていること”は異なります。ターゲットごとのニーズを把握し、企画の中に多様性を取り入れることが成功の鍵です。
■ 強制参加より“自発性”を尊重
自由参加型でも、多くの社員が自然に集まる行事こそが「居心地の良い職場」を象徴します。アンケートや社内SNSでの事前募集など、参加者が当事者として関われる仕掛けがあると、行事の満足度も高まります。
■マネーウェルネスとの連携も視野に
マネーウェルネスの一環として、自身のライフプランを描き、FPとの個別相談を活用することで、将来への備えやキャリア設計について考える良いきっかけになります。
【社内行事は「人と組織をつなぐ投資】
人材が企業の最も重要な資産であることは、もはや常識です。しかし、それを最大限に活かすには、“制度”や“待遇”だけでは足りません。組織と人、そして人と人との「つながり」を育む時間や体験こそが、最も持続可能な企業価値を生み出すのです。
社内行事は、そのための有効な手段のひとつです。マネーウェルネスのような先進的な取り組みを支える基盤として、人と組織の信頼をつくるコミュニケーションの場づくりにも、今一度注目してみてはいかがでしょうか。