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コラム

共働き世帯、専業主婦世帯から見る老後の年金額は?

【受け取る年金額の違い】

「公的年金だけでは2,000万円不足する」といわれて問題になった老後資金。

老後資金となる公的年金の年金額は、共働き世帯と専業主婦世帯で大きな差ができます。

 

公的年金には、国民全員が加入する国民年金と、会社員・公務員が加入する厚生年金があります。国民年金に加入している人は老齢基礎年金、厚生年金に加入している人は老齢基礎年金に加えて老齢厚生年金を受け取れます。

 

つまり、共働き世帯では夫婦ともに老齢基礎年金・老齢厚生年金が受け取れるのに対し、専業主婦世帯では妻の分の老齢厚生年金がありません。

 

例えば、夫婦ともに厚生年金に38年加入共働きの場合、妻が夫と同じだけの収入を得ていたとすると、受け取れる年金額は以下のように変わります。

 

 

令和2年度の新規裁定者(67 歳以下の方)の年金額の例(月額) 厚生労働省より

  共働き世帯 専業主婦世帯
国民年金(老齢基礎年金) 130,282円(2人分) 130,282円(2人分)
厚生年金(老齢厚生年金) 220,724円(2人分) 110,362円(1人分)
合計 351,006円 240,644円

※厚生年金は、夫の平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)43.9 万円)で 40 年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準です。

 

上記の表は一例であり、共働きであっても同じだけの収入が得られないケースもあるので、共働き世帯も安心できません。それでも、妻の老齢厚生年金の有無でずいぶんな違いがでることが分かります。

 

受け取ることができる年金額の目安がわかったところで、老後の生活費の目安も確認しておきましょう。

老後の生活費(夫婦)

最低限の生活費…約22万1,000円/月

平均的な生活費…約26万5,000円/月

ゆとりある生活費…約36万1,000円/月

 

少しでもゆとりのある老後を過ごすためにも老後の資産づくりをしっかりとしておきたいものです。

そこで、今からでもできる年金額を増やす方法について紹介します。

 

【今から老後の収入を増やす方法】

 

①:任意加入で国民年金の加入期間を増やす

国民年金を満額で受け取るには、40年間加入している必要があります。

しかし、実際のところ国民年金に40年間フルで加入している人は多くありません。

もし、加入期間が足りないならば、60〜65歳までの間にも国民年金に加入することで、加入期間を増やすことができます。任意加入の期間を含めて加入期間が40年になれば、国民年金は満額受け取れます。もし40年に満たなかったとしても、加入期間に応じて受け取れる国民年金の金額を増やすことができます。

 

②:付加年金で年金額を増やす

国民年金の任意加入期間には、付加年金に加入することもできます。

付加年金とは、国民年金保険料に月400円を上乗せして支払うことで、「200円×付加年金の保険料納付月数」の分だけ年金を加算して受け取れるというものです。

60~65歳までの5年間付加年金に加入し、2万4,000円の付加年金保険料を払うことで、受け取る年金を毎年1万2,000円増やせます。2年で元が取れ、3年目からは得になる制度といえます。

なお、付加年金には国民年金の第1号被保険者(自営業の方など)も加入できます。

 

③:「繰り下げ受給」で受け取る年金額を増やす

年金の受給開始は原則65歳からですが、1カ月単位で受取を遅らせる「繰り下げ受給」もできます。1カ月繰り下げるごとに年金額が0.7%増加しますので、5年間繰り下げ(70歳から受給開始)することで、年金額は最大42%増やすことができます。

 

④:iDeCoを利用して年金を増やす

iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)は自分で掛金を拠出・運用して、その結果を老後に受け取るものです。専業主婦も月額2万3,000円(年間27万6,000円)まで掛金の拠出ができます。

iDeCoには、①掛金が全額所得控除できる、②運用益が非課税になる、③受け取るときの税金を減らせるという、3つのおトクな節税メリットがあります。専業主婦でご自身の課税や所得がない場合は、掛け金が全額所得控除のメリットは受けられませんが、運用益やと受取時も一定金額まで税金を減らせるというメリットを受けることができます。

 

⑤:つみたてNISAを利用して年金を増やす

つみたてNISA(ニーサ・少額投資非課税制度)は、少額での長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度です。つみたてNISAでは、毎年40万円までの投資で得られた利益にかかる税金(20.315%)が非課税になります。

また、毎月1,000円程度の少額からスタートでき、投資先も金融庁の基準をクリアした、手数料の安い投資信託・ETF(上場投資信託)のみです。そのため、これまで投資をしたことがない初心者の方でも気軽に始めやすい制度といえます。

 

税制優遇を受けながら老後資金づくりができる「iDeCo(個人型確定拠出年金)」や、運用益が非課税になる「つみたてNISA」などを活用し、積み立て方式でコツコツと資産形成することをおすすめします。

この機会に老後資金について、考えてみてはいかがでしょうか。